第35話

哉芽は考えていた。もう茉白さんに父の遺言を伝えるのは止めようか。


自分が母から聞いた茉白さんは父と不倫をして母から父を奪った人間で、父がそんな人に何を伝えたかったのか知りたくて、茉白さんはどんな顔で本妻の息子である自分と向き合うのか見たかった。


「燈馬さんのお話を聞いて、僕は何も知らずに茉白さんに父の遺言を伝えようとしている事がわかりました。申し訳ありません。茉白さんにも謝罪を伝えて下さい。僕はもう茉白さんに会わない方が良いのでしょう。」


燈馬は驚いた。哉芽は茉白の心配をしている。父の遺言よりも茉白の身体を優先するとは


「いいんですか?紫耀さんの遺言を哉芽さんが読んで内容を教えてくれれば僕が茉白に伝えますよ。内容によりますが。」


「もう止めた方がよさそうです。此方も少し確認したい案件もあるので。茉白さんには燈馬さんからもう遺言は忘れるようにお伝え下さい。お願いします。」

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