第27話

燈馬は哉芽がフラッシュバックを引き起こしたと思っている。目の前の哉芽はあの頃の紫耀そのままだ。


「何とかクラッシュは避けられましたが、疲労が強いので安静が必要です。今の茉白にはこれ以上の負荷は無理なので、今後のご相談に来ました。茉白の代わりに僕と話してくれませんか。僕から茉白へ体調を見ながら伝えます。」


哉芽は茉白が無事でほっとした。


「なるほど。父の遺言はまだ途中です。茉白さんと葵さんと言う名前が出てきました。葵さんはご存知ですね。多分父と茉白さんの間にできた婚外子という所かな。」


燈馬は葵を思い出して苦しくなる。婚外子。そんな言葉で葵の存在を決めてたまるか。茉白の思いを何も知らない癖に。


「紫耀さんの遺言を聞いていた時茉白はどんな様子でしたか?ただの体調不良では無かったと思いますが。もしかして貴方と紫耀さんを間違えたとか。茉白は目を閉じて哉芽さんの声を聞いていたのではないですか?」

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