第22話
優芽は部屋に入っていく哉芽の様子が気になった。何があったのだろうか。
あんなに辛そうな顔で。
優芽は心配でたまらなかった。お父様は何を遺したのだろう。哉芽はどこまで知ってしまったのか。
「兄さん、入るね?」
哉芽は部屋の明かりも付けずに座り込んでいた。
「兄さんさん!どうしたの?」
優芽は哉芽を見て驚いた。哉芽が泣いている。
「辛いの?何処か痛い?病院に行きましょう。」
哉芽を抱き寄せ熱が無いかと手のひらを顔に当てた。哉芽の身体は冷えきっていた。
「雨に打たれたの?身体を拭かないと。ねえ兄さん。どうして。」
哉芽は優芽の声に反応して優芽を抱きしめた。
「優芽。僕はなんて事を。どうしよう。あの人を傷つけたい訳じゃ無いのに。父さん。何であの人なの。父さん。」
優芽に子供のようにすがりついて泣いている。こんな兄を優芽は初めて目にした。
「兄さん落ち着いて。大丈夫。私が側にいるから。兄さんの罪は私が一緒に背負うから。茉白さんに会ったのね。父さんは茉白さんに何を伝えたかったの?」
哉芽は何も言わずにただ泣いていた。
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