第18話

哉芽はタブレットを取り出した。茉白の名前がついているフォルダをタップして中を確認する。メモアプリのようだ。遺言か。


「では読みます。速かったり、辛くなったら仰って下さい。すぐ止めます。」


茉白は目を閉じたまま頷いた。


(茉白。やっと見つけた。25年もかかった。

君を失ってから、本当に長かった。君は何も言わずに消えてしまった。自分のせいなのに、君が憎くてたまらない。


なぜ1人で背負うと決めてしまったの?どうして僕に教えてくれなかったの?君と僕の宝物。僕にも背負わせてほしかった。僕の罪なのに。茉白を諦められなかった僕が全部罪を背負うべきなのに。


今すぐ君に会って全てを知りたい。君が25年どう生きてきたのか。僕にどうして教えてくれなかったのか。でも今の僕ではまた茉白を悲しませてしまう。余命を告げられた身体で茉白と葵の前には立てない。きっと葵は僕のことは知らないのだろう。


だったらこのまま、僕の存在は葵に知らせないままで僕は命の終わりを迎えよう。それも僕の罪だね。茉白ごめんね。君を愛している。ずっと愛している。傷つけて、幸せにできなくて本当にすまなかった。)

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