第14話

点滴をしている途中に茉白は気を失うように眠ってしまった。痛みが強くてかなり疲弊したのだろう。


「茉白。これ以上壊れないで。僕の側でずっと眠っていて。僕が守るから。」


茉白の手を優しくさする。何度も諦めてそれでも愛おしくて。茉白は燈馬が愛しているただ1人の女性だった。その思いを茉白は知らない。


「耐えられるかな。俺。アイツに嫉妬するなんて。紫耀さんじゃないのに。」


雨が降っていた。もうすぐ茉白が目を覚ますだろう。


燈馬がアプリを確認しようとスマートフォンを見て着信があった事に気がついた。直ぐに折り返し電話をかける。


「ああ葵ちゃん。電話をくれた?うん、茉白は今眠ってる。起きたら電話させるね。大丈夫。ちょっと痛みが酷くて疲れたみたい。

クラッシュではないから。僕が見てるから

安心して任せてね。葵ちゃんも忙しいでしょ。身体を大切にしてね。茉白に何かあればすぐに知らせるから。じゃあまた」


電話を終えて振り向くと、茉白が目を覚まして燈馬を見ている。


「燈馬君ごめんなさい。また心配かけて。」


茉白が燈馬を見ている。それだけで彼は幸せだった。彼女が今側に居てくれる。それが彼の全てだ。

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