第7話

クリニックの診察室に通された哉芽は中の明るさと広さに目を細めた。


これだけの規模のクリニックの院長がどんな関わりがあると言うのか。


奥の部屋から出てきたのは、端正な顔をした青年だった。


「お待たせしました。院長の睦月燈馬です。

弁護士の紫雲哉芽さん。紫雲派の紫耀さんの息子さんか?本当に生き写しだね。」


燈馬は哉芽を見た瞬間から胸が苦しくなる。アイツ、紫耀がまた目の前に現れた。


憎しみが溢れそうになる自分を必死に抑えた。

哉芽は自分に向けられる燈馬の瞳の陰に気づいていた。歓迎されていないのは覚悟の上だ。


「父をご存知なんですね。なら父が亡くなったのも跡継ぎが僕ではないのも。」


哉芽の言葉に燈馬はうなづいた。


「知ってますよ。僕は華商如月の親戚ですから。睦月茉白の従弟です。」


茉白の名前を聞いた哉芽が眉をひそめた。

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