第86話
燈馬は茉白の点滴をしていた。茉白は流石に旅の疲れを感じていた。
「しばらくは安静にしてね。痛みが酷くならないと良いんだけど。
無理したら本当に動けなくなるよ。僕と優芽さんの結婚式まで外出禁止だからね。」
「はい。燈馬先生。大人しくしてます。もう少し皆と一緒にいたいから。
無理はしないから心配しないで。2人の結婚式を楽しみにしてるから。」
茉白が微笑んでいる。消えそうなくらい綺麗で燈馬は何故か悲しくなった。
「燈馬君。そんな顔をしないで。私は充分幸せに生きられた。
燈馬君や哉芽のおかげでもういつ何があっても良いと思っているの。
もしもその時がきたら、どうか哉芽を宜しくお願いします。
燈馬君と優芽さんで哉芽をもっと幸せになるように導いてね。」
「茉白。僕も嫌だよ。まだ君と別れるなんてできない。
お願いだからもう少しだけ。僕達の側で笑っていて。君が必要なんだ。」
「燈馬君には優芽さんがいるじゃない。大丈夫よ。皆幸せでいられるから。
今なら紫耀さんの気持ちが良くわかるの。
愛する人達の幸せが、私の唯一の望みだから」
燈馬はそっと茉白を抱きしめた。茉白は燈馬の頭を撫でていた。
「幸せになってくれてありがとう。燈馬君と優芽さんならきっと素敵な家族を作れるから。
葵達と将来の哉芽の家族の事宜しくね。頼りにしてます。」
「任せて。茉白と紫耀さんに安心して見守って貰えるように幸せになるから。
だから安心してもう少し側にいて。まだ茉白の笑顔が見ていたいんだ。」
「大丈夫。もう少し頑張るから。私もまだ皆の側にいたいから。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます