第80話

2人は中に入って琥珀に挨拶をしていた。


「近くに訪問診療に来たので、久しぶりに優芽さんにご挨拶をしようと思いまして。


彼女は僕と一緒に診療してくれている多田さんです。」


「多田薫乃(ただゆきの)です。初めまして。」


「長内琥珀です。先生ちょうど良かった。実は彼女が目眩を起こしてしまっていて。


診てあげてくれませんか。かなり辛そうなんです。お願いします。」


「それは大変ですね。多田さんお願いします」


「わかりました。どこか横になれる所はありますか?血圧を測りたいので。」


「それなら隣の部屋へ。ソファーがあります。

小野さん立てますか?」


「私は大丈夫です。そろそろ帰らないと。」


静雅は立ち上がろうとしてまた目眩を起こした。それを琥珀が支えて隣の部屋へ連れていった。


「まだ辛そうですね。先生に診て貰いましょう。多田先生、宜しくお願いします。」


「わかりました。小野さんですね。多田と申します。ゆっくり横になって下さい。」


琥珀は薫乃に静雅を託して扉を閉めた。


「間に合いました。すみません急にお願いしてしまって。」


優芽の父親は琥珀の肩を叩いた。


「彼女は心理カウンセラーです。とりあえず診察が終わるのを待ちましょう。」


「はい。哉芽から相手の男についての情報が届いているので確認してください。」


琥珀はパソコンの画面を開いて千晶の情報を見せた。

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