NO.26

第76話

琥珀が隣の部屋から出てきた時、静雅は俯いたままだった。


「すみません。お待たせしました。哉芽は

やっぱり明日にならないと戻れないそうです。


小野さん。今日中じゃないとダメな理由を教えてくれませんか?」


「千晶さんが言っていたんです。僕が告訴されないようにして欲しいって。


今日千晶さんが戻る迄に全てを終わらせて出迎えないといけないんです。


いつも千晶さんからの願いはその日のうちに

叶えるようにしているんです。」


静雅は琥珀に説明したが、何故か静雅自信が

違和感を感じていた。


「じゃあ何か具体的に期限がある訳ではないんですね。明日告訴される予定とか。」


「はい。すみませんそうですよね。私は何を

慌てていたのでしょう。


千晶さんに言われるといつも急がないといけないと思ってしまうんです。」


「そうなんですね。では明日哉芽が戻ったら、哉芽に話してみましょう。


小野さんは一緒に暮らしているのですか?

だから戻る迄にって焦っているのですか?」


「はい。私のマンションに帰って来るんです。毎日ではないのですが、頼み事があった日は

必ず帰って来るので。」


琥珀は怒りを抑えるのに必死だった。こんなに女性を怯えさせて意のままに動かすなんて。


「じゃあ今日は帰って来る日なんですね。小野さん。今日はどこか別の場所で泊まっては如何ですか?」


静雅は驚いた顔をした。


「でも、そんな事できません。彼は私が外泊するのを嫌がるんです。


心配かけてしまうので、帰らないと。長内さん

紫雲先生は明日告訴を取り下げてくれますか?


お約束を頂ければ帰って千晶さんに許して貰います。明日またお願いに来ます。」

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