第74話

静雅は琥珀の背中を見送った。琥珀の優しい声が耳に残っていた。


静雅は琥珀にいれて貰った紅茶をゆっくり飲んだ。暖かくて、甘くて、思わず微笑んでいた。


顔色が悪いと言われた事が気になってバックから鏡を取り出して自分の顔を見てみた。


確かに青白くて病人みたいな自分の顔に驚いて自分の頬に手を添えた。


カップを触って暖かくなっていた手がとても

心地よかった。


鏡を仕舞おうとバックの中を見た時、スマホが光っているのが見えた。


静雅は慌てて電話に出た。


「千晶さん。ごめんなさい。はい今事務所ですいえ。まだです。ごめんなさい。


今日中ですよね。わかっています。千晶さんの為に精一杯お願いします。


ごめんなさい。私が悪いんです。千晶さんの

経歴に傷をつけて本当にごめんなさい。


お願いします。許してください。千晶さんがいないと私はどうしたら良いか。


はい。また連絡します。え?お金ですか?わかりました。今すぐに振込みます。


良いんです。千晶さんが喜んでくれるなら。

はい。わかりました。失礼します。」


電話を終えた静雅はスマホを操作しだした。

千晶への振込を済ませるとゆっくり息を吐いた


「早く終わらせて帰らないと。どうしよう。

今日中に取り下げて貰わないと。私は。」


手で顔を覆いながら小さな声で呟いていた。

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