NO.24

第70話

優芽が葵に聞いてきた。


「そういえば朱音ちゃんは大丈夫ですか?葵さんだけが来られてご主人が面倒を見られるって」


「それがホテルのオーナー代理が部屋を用意してくれてベビーシッターまでいたの。


お母さんやお兄さん達にお世話になってるからってメモがあったの。」


葵は優芽にカードを見せた。優芽はそれを見て微笑んだ。


「この人は私のもう1人の兄です。」


「お兄さん?どういう事ですか。」


優芽は葵と創太に優芽と琥珀の関係を話した。

葵は涙を流しながら優芽を抱きしめた。


「ごめんなさい。私だけが辛い思いをしてると思っていたけど、優芽さんの方が辛かったのね


これからは優芽さんは私の妹よ。私になんでも話してね。絶対にあなたを守るから。」


優芽は葵に笑顔で応えた。


「私はもう大丈夫です。でもお姉さんができたのは本当に嬉しいです。


これからずっと仲良くして下さい。私も葵さんの為にできる事はなんでもします。」


茉白は2人を抱きしめた。


「葵、朱音ちゃんに会いたいわ。連れて来てくれる?大きくなったでしょうね。」


「僕が連れて来ます。お座りも上手になったんです。是非見てください。」


創太がそう言うと隣にいる朱音を連れてきた。


朱音は起きていて茉白を見ると笑顔で手を差し出した。


「朱音ちゃん。抱っこさせて。」


茉白はベッドに座ると朱音を抱いた。横で哉芽が朱音の頭を撫でている。


「朱音はお母さんによく似ているの。朱音の瞳を見ているとお母さんと一緒にいるみたいで」


朱音は哉芽の顔を触って抱っこをせがんだ

哉芽は戸惑いながら朱音を抱いた。


「やっぱり朱音は面食いだな。哉芽さんにメロメロだ。朱音。パパはこっちだろ。」


創太が朱音に声をかけたが、朱音は哉芽の膝に乗ってずっと哉芽指を握っていた。


「朱音ちゃん哉芽が大好きになったのね。」


茉白が朱音の頬を触りながら呟いた。


「可愛いね。目が茉白によく似てる。大きくなったら美人さんになるね。


でも僕は茉白がいいな。朱音ちゃんは小さすぎて壊れそう。」


哉芽は優芽に朱音を託すと茉白を抱き寄せた。


「朱音ちゃん。初めまして。なんて可愛いのでしょう。燈馬さんも抱っこしますか?」


「僕は良いよ。優芽さんが朱音ちゃんを抱いてる姿をもっと見たいから。」


「朱音。パパの所へおいで。」


創太が朱音を呼んでいるが朱音は優芽の腕の中で燈馬へ笑いかけている。


「朱音は人気者ね。もう少し皆に遊んで貰いましょう。


久しぶりに2人の時間ができたのに嬉しくないの?」


葵の言葉に創太は慌てて葵の側に駆け寄った。


「勿論嬉しいよ。葵と2人きりになれるなんて。

バルコニーに出てみようか。」


葵は創太の腕をくんだ。


「お母さん、少しだけデートさせて。朱音が泣いたら呼んでね。」


「大丈夫よ。ゆっくり楽しんでね。」


茉白は2人を見送ると、哉芽と見つめあって笑った。優芽と燈馬も笑顔で朱音をあやしていた。

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