NO.23

第67話

燈馬は茉白と葵を座らせた。哉芽と創太が横にいて手を繋いでいる。


「葵ちゃんはいつ知ったの?紫耀さんの事。

会いに行ったって聞いたけど。」


葵は涙を拭うと創太の顔を見てから話始めた。


「お母さんが燈馬さんの所へ行く時に睦月の実家に寄ったでしょう?


その時におばあちゃんが電話で話していたの。

私のお父さんが余命僅かで入院している事を。


びっくりしてお母さんが眠った後におばあちゃんを問い詰めたの。」


茉白は葵の頬を撫でている。


「ごめんなさい。驚いたでしょうね。でもなぜ会いに行こうと思ったの?」


創太が茉白に明るく話しかけた。


「葵から泣きながら電話があったので、茉白さんが燈馬さんの所へ行った後に僕が葵を迎えに


その時に葵から話を聞いて、僕が一緒に行こうって言ったんです。


恨みも、戸惑いも全て本人にぶつけようって。

会わずに後悔しないように。」


葵は創太に微笑んだ。


「創太がいてくれたから、お父さんに会いに行く事ができたの。


お父さん、私を見て泣いていた。一生会えないと思っていたから、本当に嬉しいって言ってた


その時にお父さんから聞いたの。悪いのは全てお父さんで、お母さんや哉芽さん達は犠牲者なんだって。


憎むのはお父さんだけにして欲しい。でも私が生まれてくれて本当に幸せだった。


生まれてくれてありがとう。幸せになってくれてありがとう。


何度も私の手を握って呟いて。そんな姿を見たらもう何も言えなくて。」

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