第65話

葵はホテルのロビーに夫と娘と来ていた。朱音が眠くてグズっていたので眠らせた所だった。


「やっと眠ったね。このままベビーカーで寝かせながら散歩するから。


葵は茉白さんの所へ行っておいで。ちゃんと話すんだよ。」


葵の夫峰崎創太(みねざきそうた)は葵の頭を優しく撫でた。


「創太ありがとう。ちゃんと話してくる。朱音の事宜しくね。


しばらく起きないとは思うけど起きてしまって泣き止まない時は電話して。」


「わかった。いつも葵に任せてばかりだからこんな時くらいしっかり父親やるよ。


いつも朱音を愛してくれてありがとう。」


葵は暖かく笑う創太が大好きだ。いつも彼の明るさに助けられている。


2人が微笑みあっている所へホテルのスタッフが話しかけてきた。


「失礼致します。峰崎様でいらっしゃいますね。ホテルのオーナーより言伝がございます。


睦月様のお部屋の隣に峰崎様のお部屋もご用意させて頂いてあります。


ご案内致しますので、こちらへどうぞ。」


2人は案内された部屋へむかった。部屋の中にはベビーベッドがあって、側に女性が立っていた


「ベビーシッターです。お子様をお預かり致します。お2人で睦月様のお部屋へどうぞ。」


女性が名刺を差し出した。保育士の資格を持つフリーランスのベビーシッターだった。


「オーナーよりお手紙を預かっております。」


葵は渡された手紙を読んだ。


(ホテルのオーナー代理の長内琥珀です。紫雲家と睦月家には本当にお世話になっている者です


是非お2人で皆さんに会って話をなさって下さい

朱音さんは責任をもってお預かり致します。


話し合いの後はぜひそのままお泊まり下さい。)


葵と創太はベビーシッターへ朱音を預けた。


「じゃあ行こうか。茉白さん達が待ってる。」


創太は葵の肩を抱いて部屋を出た。

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