NO.21

第61話

燈馬の運転で4人は葵の住む町を目指していた。

後部座席の茉白は薬を飲んで眠っていた。


哉芽は茉白を抱きながら頭を優しく撫でている

優芽は助手席で燈馬と話していた。


「葵さんがお父様のお見舞いに来ていたなんて全然知りませんでした。


茉白さんには言えなかったって事ですよね。

葵さん辛い思いをしてたなんて。」


「そうだね。きっと茉白の身体が心配で言えなかったと思うよ。


僕に相談してくれなかったのは少し寂しいけどね。葵ちゃんは1人じゃないから。


旦那さんが支えてくれているから大丈夫だよ。

葵ちゃんの旦那さんはとても優しいから。」


燈馬は優芽を見つめて微笑んだ。


後部座席から茉白の吐息が聞こえた。


「茉白、目が覚めたの?痛みは大丈夫?」


哉芽は茉白の額にキスをした。


「哉芽ありがとう。大丈夫よ。もうすぐ着くのね。葵に会えるのが嬉しいはずなのに。


なんだか怖いの。葵はどこまで知っているのか気になって。」


「そうだね。でもきっとわかって貰えるよ。

茉白が葵さんを愛して育ててきたことを。


僕も兄妹だって伝えるのが怖いけど、葵さんの力になりたいから。」


茉白は哉芽の肩にもたれた。


「葵は望まれて生まれてきたの。それだけはわかって欲しい。


私の我儘だったけど、葵を産んだことは後悔していない。私は幸せだった。」


燈馬は茉白に話しかけた。


「僕は茉白がどんな思いで葵ちゃんを育ててきたかちゃんとわかってるよ。


葵ちゃんも愛されていることは感じてる。だからこそ茉白を傷つけたくなかった。


きっと僕達の思いは届くよ。みんなで話そう。

葵ちゃんへの思いを伝えよう。」

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