NO.18

第52話

優芽は身体を震わせた。茉白は笑顔で続けた。


「わかってるから。もし哉芽の子供を作る事ができると知ったら、私は命がけで産もうとするか哉芽の側から離れようとする。


優芽さんは哉芽の為に私を守ろうとしてくれたのね。でももういいのよ。


昔の私だったら優芽さんの思っている通りだったけど、今は違うの。」


「ごめんなさい。2人の幸せを壊したくなくて。

でもどうしてもお父様の血を繋げたい。


私の我儘なのはわかっているんです。葵さんに朱音ちゃんがいる事が羨ましい。


私もお父様の血を受け継ぎたかった。こんな私が家元なんて。


せめて次の家元を兄さんの血をわけた子に託したかったから。」


「優芽さんは紫耀さんから何を託されたの?血を繋ぐこと?家を守ること?


優芽さんの作品は紫耀さんの思いをちゃんと引き継いでいる。


私も紫耀さんの側で見てきたからわかるの。

だから、優芽さんが自分の作品を生けること。


紫耀さんから学んだことを生け花が大好きな次の世代に繋ぐこと。


それで良いの。血なんて関係ないわ。優芽さんしか紫耀さんの思いを繋げないのだから。」

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