第51話

茉白は優芽の手を握った。


「優芽さん。ちょっと2人で話せるかしら。女性として優芽さんと話したい事があるの。」


「はい。茉白さんの体調が大丈夫でしたら。私も茉白さんと話したいです。」


「哉芽達は別の場所で待っててくれる?」


「わかった待ってる。でも無理はしないでね。辛くなったら直ぐに呼んで。」


哉芽が茉白の額にキスを落とした。


琥珀と燈馬は優芽の手を握った。


「待ってるね優芽さん。」


「優芽ちゃん茉白さんに甘えるんだよ。」


3人が稽古場を出て行った。


「さあ座って。優芽さんが本当にどうしたいのか、2人で考えましょう。まだ迷ってるのよね」


「はい。自分でもどうしたいのかわからなくて

私はお父様の為に生きていくと決めたはずなのに。こんな気持ちになるなんて。」


茉白は優芽を抱きしめた。


「紫耀さんへの思いは消えてないわ。燈馬君を愛してる気持ちも優芽さんの本当の思いよ。


罪悪感を感じたりしないで。紫耀さんが悲しむから。


優芽さんが燈馬君と愛し合って生きる事が紫耀さんが望んでる事よ。」


優芽は茉白にしがみついて子供のように泣いていた。


「辛かったでしょう。もう思い詰めないで。私の為に1人で抱えてしまったのね。


私なら大丈夫。哉芽君の子供を産めなくても、哉芽君の側から離れないわ。」

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