第47話

稽古場の遺影を見つめている優芽の背中を燈馬はゆっくり抱きしめた。


「優芽さん大丈夫?緊張してるみたいだね。僕が傍にいるから。紫耀さんも見守ってくれてるよ


2人ならわかってくれるから。優芽さんはもっと甘えて良いんだよ。僕を信じて。」


優芽は燈馬の方へ向き直った。


「燈馬さんはどうしてそんなに優しいのですか。私はお父様のために子供を産もうとしてるのに。燈馬さんを傷つけて、それでも私は。」


「良いんだ。わかってるから。僕なら大丈夫だから。優芽さんが僕を好きでいてくれるだけで


それで良い。一緒に生きていこう。もう離したくないんだ。」


「燈馬さんありがとう。私も離れたくないですずっと一緒にいたい。本当にごめんなさい。」


燈馬は優芽にキスをした。


「謝らないで。僕が君を守るから。」


「燈馬さん。私も燈馬さんが大好きです。」


2人は抱き合った。稽古場の入口で琥珀が2人を見守っていた。2人の幸せを心から願いながら。


遠くから哉芽と茉白が歩いてくる。


琥珀は2人を出迎える為に歩き出した。


もう少しだけ燈馬と優芽を2人切りにする時間をプレゼントしたかった。

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