NO.16

第46話

哉芽と茉白は稽古場へ向かっていた。優芽に大切な話をしたいと言われて2人で急いでいる。


「茉白、本当に大丈夫なの?稽古場に行く事で昔を思い出さないか心配だよ。


もしフラッシュバックしたら直ぐに言ってね。

一緒に家に帰ろう。」


「哉芽心配しないで。もう大丈夫だから。哉芽が傍に居てくれれば私は平気よ。」


「うん。ずっと隣に居るから。優芽の為にありがとう。優芽が自分から話をしたいなんて言うなんて。珍しいから。」


「そうね。いつも他人の為に動く優芽さんが何を決意したのか心配だわ。私達でできる事があれば良いけれど。」


哉芽の顔が曇った。茉白はそっと叶芽の肩に触れた。


「燈馬君が優芽さんの傍にいてくれるから大丈夫よ。


琥珀さんも優芽さんを助けてくれてるはず。だから哉芽が1人で抱え込まないで。


皆で考えましょう。幸せになれる方法を。」


「そうだね。ありがとう。茉白が傍に居てくれれば僕は大丈夫だよ。


優芽も素直になって幸せになる事だけ考えて欲しい。僕の望みはそれだけだから。」


懐かしい景色が見えてきた。紫雲派の教室だ。


「やっと帰ってこられた。此処は変わっていないのね。


優芽さんが大切に守ってくれているからね。


これからは私達も優芽さんを支えて一緒に守っていきましょうね。」


「そうだね。ありがとう。あまり無理しないで

茉白は僕の傍で笑っていてね。」


車をとめた哉芽が茉白に優しくキスをした。


「もう。甘やかさないで。今は優芽さんが一番よ。私は大丈夫だから。」


茉白は顔を赤くしながら哉芽を睨んだ。


「茉白はいつでも僕の一番だから。それだけは変わらないよ。ずっと僕のお姫様でいてね。」


哉芽はもう一度茉白にキスをした。


「じゃあ行こうか。優芽が待ってる。本当に辛くなったら直ぐに言ってね。」


「哉芽には敵わないね。ちゃんと言うから心配しないで。叶芽もずっと私の王子様よ。」


茉白は微笑んで哉芽を抱きしめた。

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