第45話
優芽は2人の顔を見つめた。もう嘘はつけない
「お父様の後を継ぐのが私の使命だと思っていました。
血の繋がらない私を愛して育ててくれたお父様とやっと幸せになった兄さんの為に。
でも兄さんとも他人だった私が、2人の為にできる事は、2人の血を繋いで後を継げる子を私が産んで育てなければ。
私は本当の家族になりたかった。2人の愛に応えたい。私は2人を愛してるから、産みたいんです
燈馬先生ごめんなさい。先生を好きな気持ちは本当です。でも、どうしても産まないと、私は
自分が許せない。」
燈馬は優芽の手を握った。
「大丈夫だよ。もう泣かないで。優芽さんの思いは伝わっているから。
僕は優芽さんが傍にいてくれたらそれで良い。
優芽さんが望むなら、2人で育てよう。
僕も優芽さんと家族になって、一緒に愛したい
だから、どうか1人でなんでも抱え込まないで。
これからは僕も琥珀さんもいる。哉芽君だって茉白も君を愛してる。
皆で考えよう。幸せになる方法を。優芽さんだけが犠牲になったら哉芽君と茉白も不幸になる
茉白の気持ちを考えて1人で産もうとしたんだよね。でも茉白なら大丈夫だよ。彼女なら。」
燈馬の言葉に優芽は何も言えなかった。
「茉白は哉芽君と幸せになってやっと新しい人生を歩きはじめた。
今の茉白なら大丈夫。だから全て話してみよう
隠すのはかえって傷つける事になると思うよ」
「優芽ちゃん。僕も燈馬さんの意見に賛成だよ
もし黙って産んだら2人は傷つくし、優芽ちゃんに負い目を感じると思う。
全て話して皆で考えよう。誰も優芽ちゃんの思いを攻める人はいないから。」
琥珀も優芽の手を握った。
2人の手が温かくて、優芽は涙が止まらない。
「気持ちが落ち着くまで一緒にいよう。もう1人にならないで。優芽さんを愛してるよ。」
燈馬が甘く囁いた。
「可愛い優芽ちゃん。もっと甘えて。ずっと君に言いたかった。僕達が兄妹だって。
もう遠慮しないから覚悟してね。」
琥珀も愛おしそうに呟いた。
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