NO.15
第43話
燈馬が呟いた。
「卵子を提供したって。じゃあ優芽さんは琥珀さんと兄妹で哉芽君とは血が繋がっていない事になるよね。」
優芽は燈馬の手を握った。
「そうです。私はお父様だけじゃなくて兄さんとも他人だった。私はお母様が作った玩具なんです。」
「玩具なんて。どうしてそんな言い方をするの?咲来さんはなんでこんな事を。」
「お母様は兄さんが高校に入る前に不妊治療して自然妊娠ができないようにしたんです。
兄を自分だけの物にするために。兄が事実を知っているかはわかりません。
私は将来兄の子供を体外受精で産ませる為だけに作られた玩具たった。
私に兄さんの子供を産ませて何をしたかったのかはわかりません。
母はもう認知機能が低下してきて意識も混濁してきていると、父が言っていました。
ただうわ言のように私に子供を産ませると繰り返しているようです。」
燈馬は泣き笑いしている優芽をもう一度強く抱きしめた。
「優芽さん。君は玩具じゃない。紫耀さんの大切な娘で、哉芽君の可愛い妹なんだから。
優芽さんは沢山の人に愛されているよ。だからもっと自分を大切にして欲しい。
優芽さんが犠牲になることは皆を悲しませる事になるよ。」
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