NO.14

第40話

琥珀は語りはじめた。長い物語を。


「母は幼い頃に両親が事故で亡くなって、施設で育った。


父と出会ったのは、大学の食堂で、母はそこで働いていた。


父は学生で、たまたま誘われた食堂で母と出会った。


父の一目惚れで、毎日母に会いに食堂へ通った

でも母は父の気持ちが信じられなかった。


父がホテルチェーンの後継者で女子学生にモテていたから。


自分は釣り合わないと思っていたって笑ってた

すぐに飽きるだろうからって。


父は諦めなかった。母の仕事が終わるまで待って、母を毎日誘った。


何度断っても父は待ち続けた。ある日雨が降っていて母を待っていた父は濡れてしまった。


母が外に出たら濡れて震えて立っている父がいて。放っておけなくなって。


それが2人が付き合うきっかけだった。2人は父が大学を卒業する頃にはもう離れられなくて。


周りの反対にあったけど、父は母を選んで家を出た。


父は塾の講師になって、母も食堂での仕事を続けてた。


貧しかったけどとても楽しかったと言っていたよ。2人は愛し合っていたから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る