NO.13

第37話

琥珀は優芽の顔を愛おしそうに見つめている。


「優芽ちゃん、僕と初めて会った日を覚えているかな。」


「はい。5年くらい前ですよね。琥珀さんが兄さんに会いに来た時だったと思います。」


「うん。それまでは僕は哉芽の同級生だった。

留学から帰って来た時に哉芽に連絡したけど、


哉芽の様子がおかしかったから気になって。

家を訪ねたら、優芽ちゃんが出迎えてくれた」


「あの時の兄は、恋人と別れたばかりで辛そうでした。


今思えばそれもお母様が何かしたのかもしれません。」


「そうだね。酷く落ち込んでた。哉芽の事は本当に心配だった。


でも僕が驚いたのは優芽ちゃんだったんだ。」


「私ですか?あの頃はまだ大学生で普通に生活していました。特に何もありませんでしたよ」


「優芽ちゃんが僕の知り合いにとても良く似ていたんだ。信じられない位に。」


琥珀は写真を見せた。そこにはこの洋館の前で微笑んでいる女性が写っていた。


「これは。優芽さんに似ているね。琥珀さん、もしかして。」


燈馬は驚いて琥珀に尋ねた。


「そうです。この写真は僕の母です。優芽ちゃんは僕の母にそっくりだった。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る