第36話

琥珀は昔を思い出していた。やっと本当の自分で優芽に接する事ができる。


「まず、咲来さんの話をしないといけないんだ。優芽さんは咲来さんに兄妹がいた事は知っているかな?」


「お母様に?知りませんでした。」


「咲来さんには兄がいたんだよ。家族の縁は切れてるけど。」


「お兄さんが?哉芽君は知っているんですか。」


燈馬が琥珀に聞いてきた。


「哉芽にはまだ確かめていないのでわかりません。2人に話した後で、哉芽にも全て伝えます」


「なぜお母様とお兄さんは縁が切れてるのですか。お母様がなにかしたのですか。」


「駆け落ちしたんだ。好きな人がいたけど、会長に反対されてね。家を出てその人と結婚したんだ。」


「お爺様が。そんな事があったのですね。」


燈馬が何かに気付いた。


「もしかして、琥珀さんは2人の従兄弟ですか?

咲来さんのお兄さんのお子さんなんですね。」


「そうです。僕は哉芽の従兄弟です。母方の性を名乗っているので、長内です。父は咲来さんの兄です。」


優芽は驚いて琥珀に問いかけた。


「従兄弟なんですね。だったらなぜ教えてくれなかったのですか?私も兄さんも喜んだのに。


琥珀さんはなぜ隠したかったのですか。」

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