NO.12

第34話

琥珀は洋館の自室で仕事をしていた。全ての手配を済ませた所で、部屋をノックする音が聞こえた。


「どうぞ。入って下さい。」


燈馬と優芽が入ってきた。


「長内さん、おはようございます。昨日はありがとうございました。おかげでゆっくりできました。」


「おはようございます。優芽さんも落ち着いたかな。何だか幸せそうだね。良かった。」


「琥珀さん、色々ありがとう。でも、まだ迷ってるの。琥珀さんの話が聞きたくて。」


琥珀は2人をソファーに座らせた。


「とても長い話になるから、ゆっくり聞いてね。辛くなったら途中で辞めるから。」


優芽は琥珀の目を見て頷いた。


「大丈夫です。お願いします。」


燈馬は優芽の手を優しく握っている。


それを見て琥珀は微笑んだ。


「やっぱり2人はお似合いだね。このままずっと幸せでいて欲しいから、全部話すね。」


琥珀は2人の前に座ると、息を大きく吐いた。


「まず、優芽ちゃんに謝らないといけないんだけど、僕が哉芽を助ける理由を話したよね。」


「はい。でも燈馬さんの前でその話をしても良いのですか。」


琥珀は照れくさそうに笑った。


「大丈夫。嘘だから。」


優芽は驚いた。


「なんであんな嘘を。それならなぜ私と兄に尽くしてくれているのですか?」


「本当にごめんね。どうしても2人を傍で守りたかったから。」


「ちょっと待って。長内さんはどんな嘘を言っていたのか教えてくれないかな。」

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