NO.9

第25話

燈馬は茉白の部屋に入った。茉白はベッドに横になっている。その横に哉芽が座っていた。


「茉白大丈夫?点滴しようか。頓服は使わなくて平気?」


「大丈夫よ。点滴だけお願いします。」


「我慢はしないでね。今日はずっと茉白の傍にいるから。痛みが酷くなったら僕に教えて。」


哉芽が茉白の頭を撫でながら囁いていた。


「哉芽君仕事は大丈夫?茉白は僕が見てようか?優芽さんが仕事で遠くに行くんだよね。

代わりに忙しくなるんじゃないのかな。」


「それが今朝琥珀から連絡があって、優芽は休暇も兼ねてもう出発したそうです。


優芽の代わりは他の師範が生徒さんを見る事になっていて。


僕もしばらく休むようにと言われて。だからずっと茉白の傍にいられます。」


茉白は少し寂しそうな顔をした燈馬が心配だった。やっぱり燈馬は優芽が好きなようだ。


「優芽さんもう行ってしまったの。寂しくなるわね。せっかく仲良くなれたのに。」


燈馬は優芽の涙が忘れられない。こんなに早くいなくなるなんて。


「哉芽君は優芽さんが何処へ行ったのか知っているの?」


「琥珀が優芽を送ってくれたんです。暫くは身体を休める為にとっておきの隠れ家に連れていくと言ってました。」


「隠れ家か。優芽さんには休暇が必要だよね。ゆっくりできると良いけど。」


「ねえ哉芽。燈馬君にも休んで貰わない?私の点滴だけなら他の先生でも大丈夫だから。」


茉白の言葉に哉芽が微笑んだ。


「そうだね。燈馬先生も休暇が必要だ。僕が手配するよ。茉白には僕がいるからね。」

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