第26話

優芽は緑の中にいた。琥珀が連れて来てくれたのは、隠れ家的なホテルだった。


個室から中庭に出る事ができて、緑を思う存分感じる事ができる。


ゆっくり深呼吸すると、何もかも忘れて幸せな気持ちになる。


暖かい光に包まれて空を見上げると愛しい人の顔が浮かんでくる。


「優芽ちゃん。少しは落ち着いた?ここは僕の秘密の場所だからね。」


「琥珀さんありがとう。何だか夢の中にいるみたい。とっても落ち着いて元気が貰える場所ですね。」


琥珀は優芽の表情を見て安堵した。


「良かった。気に入って貰えて嬉しいよ。ここは僕の生まれた場所だから。」


「琥珀さんの故郷なんですか?とっても素敵ですね。ずっと此処にいたいくらい。」


緑の中で微笑んでいる優芽を見ると、琥珀はたまらくなって思わず抱きしめていた。

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