第23話

優芽は咲来が哉芽と優芽にしていた事を全て琥珀に伝えた。


琥珀は黙って優芽の話を聞きながら、優しく肩を撫でてくれていた。


「私は、紫雲の血を繋げたい。兄と茉白さんの幸せを守りたい。だから。私はその為に作られた命なんです。」


琥珀は優芽の顔を優しく包んだ。


「優芽ちゃん。君が本当に哉芽の子供を産みたいなら、僕は応援する。でも哉芽や他の人に秘密にするつもり?」


「暫く遠くに行く事にして、その間に妊娠します。兄さん達には、好きな人が出来たけど騙された事にするつもりです。


子供だけは産んで1人で育てると決めたと。兄さんは産むことは反対しないと思うので。」


「哉芽は優芽ちゃんを傷つけた相手を必死に探すよ。どんな手を使っても許さない。


だからそんな嘘は無駄だよ。燈馬先生だって納得する筈がない。」


優芽は琥珀に言われて、自分が浅はかだった事に気がついた。


「でも。私は。このまま何もしないでいられない。産まなくちゃ。あの人の血を繋げないと。


お父様が必死に守ってきたの。私を愛して育ててくれたの。


だから。私が産まないと。愛して育てていかないと。」

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