第14話
優芽がレントゲンを撮っている間、燈馬は考えていた。優芽の瞳を。
かなり前に見た誰かの瞳と同じだった。
あれは…
「燈馬君、今大丈夫?ちょっとお願いがあるのだけど。」
茉白が奥の部屋から入ってきた。燈馬は茉白の顔を見て思い出した。
あの時だ。茉白が妊娠して葵を産むために遠くへ行くと決めた瞳。
幼い燈馬でも眩しい位綺麗で寂しそうだった。
「燈馬君、大丈夫?聞こえてる?」
茉白が心配そうに燈馬の顔を覗き込んでいた。
「ごめん茉白大丈夫だよ。ちょっと考え事があっただけ。お願いって何かな。」
茉白は心配そうな表情をしたが、話を続けた。
「今優芽さんが来てるでしょう。この後私とお茶をする約束なの。哉芽君今日遅いから。
それで遅くなったら、優芽さんを送ってあげて欲しいの。
ごめんね急にお願いして、大丈夫かしら。」
燈馬は柔らかく微笑んだ。
「わかった。優芽さんは僕が送るから。帰る頃にまた連絡して。」
「ありがとう。じゃあ後でまた。優芽さんに部屋に来るように伝えてね。」
茉白は楽しそうに笑っていた。今の幸せそうな笑顔を優芽にもさせてあげたい。
燈馬は心からそう思った。
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