第12話

優芽は遺影を見つめる。母のせいで不幸になり

苦しみながら亡くなった愛しい人の姿を。


あの人は言っていた。


「優芽が紫雲家に縛られる必要は無いよ。

凍結してあるものは処分した方がいいと思う。


優芽と咲来の親子鑑定はしておいた方が良いと思うけど、優芽の気持ちを大切にしたい。」


優芽は強い瞳であの人に告げた。


「親子鑑定して下さい。その結果が出るまで

処分は待って欲しいんです。」


「優芽。まさか!それはいけないよ。誰もそんな事を望んでいない。


優芽だけが犠牲になるなんて。哉芽君に真実を伝えよう。」


「いいえ。これは私のわがままです。お願いします。私のわがままを聞いてください。」


優芽は遺影に話しかける。


「あなたが守った紫雲家を繋げていきたい。

兄さんの幸せを守りたい。それが私の幸せだから、どうかわがままを許してください。」


優芽の瞳に涙が溢れる。


「さようなら。燈馬さん。」

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