第3話
オフィスの窓から綺麗な夕焼けが見える。琥珀はパソコンの画面から目を上げて茜色の夕日を見つめた。
一人でいるこの時間が琥珀は好きだった。今だけは、素直な自分でいられる。
「琥珀さん。ごめんなさい、お邪魔しちゃいましたね。」
哉芽の妹である優芽がオフィスに入ってきた。
「優芽ちゃんなら大歓迎だよ。哉芽に用事?もう茉白さんの所に行ったよ。」
優芽は珍しく着物を来ていた。薄紫の小袖が優芽にとても似合っている。
「琥珀さんにお願いがあって。いつもすみません。こんな事琥珀さんしかお願いできなくて」
優芽の様子で琥珀は直ぐに理解した。
「また理事会のおっさんに迫られてるの?今度は誰?優芽ちゃんも大変だね。これから会食?」
優芽はほっとした顔を琥珀に見せた。琥珀にはこれまでも助けて貰っている。
「佐々木さんです。今回は息子さんもご一緒にと言われて。お世話になっている方なのでお断りできなくて。」
「佐々木の爺さんか。息子って45歳でバツ2だよね。女癖悪いって有名だよ。」
優芽は琥珀の言葉に笑顔になった。優芽の気持ちを楽にしてくれているのが分かるから。
「そうなんです。琥珀さん助けてくれますか?いつもごめんなさい。」
琥珀は優芽の頭を撫でた。
「勿論、僕に任せて。優芽ちゃんは僕が守るよ。佐々木の爺さんも息子もご機嫌で帰って貰えるように手配しておくね。」
「お願いします。会食はいつもと同じ場所を予約してあります。」
琥珀はスマートフォンを操作しながら優芽に笑顔を見せた。
「了解!じゃあいつも通りにね。二時間後に迎えに行くから。安心して食事楽しんでね。」
優芽は琥珀に頭を下げた。
「わかりました。ありがとうございます。」
「優芽ちゃん。僕は君の騎士だよ。頭なんか下げないで。約束したでしょう。」
琥珀は優芽の顔を上げさせてウィンクした。
「琥珀さんそれやめて。笑っちゃいます。」
「優芽ちゃんだけだよ。僕が自信無くすの。イケてると思うんだけどな。」
ワザと大袈裟なリアクションで優芽を笑わせてくれる。優しい琥珀に優芽はいつも感謝している。
「琥珀さん。ありがとう。大好きよ。」
琥珀は満足気に優芽の頭を軽く叩いた。
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