第2話

紫雲哉芽(しうんかなめ)はオフィスで作業をしていた。


最近まで孤独で冷たい雰囲気を纏っていたが、柔らかくて美しい瞳を持つようになり周りの若い女性から絶大な人気を持ってしまっている。


長内琥珀(おさないこはく)は、優しくなった哉芽の瞳を見つめていた。


本当に変わった。昔の哉芽はもう居ない。少しだけ寂しい自分がいる事に琥珀は苦笑いしてしまう。


「琥珀。何笑ってるの。何が可笑しいの。」


「ごめん哉芽。茉白さんって凄いんだなって思って。哉芽を本当に王子様にしちゃったから」


哉芽はニヤリと笑って琥珀の肩を叩いた。


「茉白はお姫様だからね。琥珀にはあげないよ。羨ましい?琥珀も良い人見つけなよ。」


琥珀は哉芽の肩を抱いた。


「大きなお世話。僕は人気者だよ。知ってるでしょ?僕が選んでないだけ。自由が一番」


哉芽は大学時代から優秀で人気者の琥珀を羨ましいと思っている。


一流企業への就職を断って、哉芽のビジネスパートナーになってくれて感謝している。


「琥珀が側にいてくれて嬉しいよ。頼りにしているから。」


琥珀は哉芽に笑って応えた。


「そうやってこき使うよね。早く茉白さんに会いたいからって。もういいよ。後はやっておくから。帰りなよ。」


「ありがとう。じゃあまた明日、午後の会議には来るから。」


素直に帰る哉芽が可愛くてたまらない。

琥珀はずっと哉芽を見送っていた。

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