第85話

「亜夢ちゃん、あれ乗っていいかな?」


「え?」


泉くんが指さしたのは、夜に乗りたかった観覧車。


だけど、今乗りたい。

泉くんに気持ちを伝えたい…!


「うん」


2人で観覧車の所に向かう。

私は泉くんの1歩後ろに下がって歩く。


観覧車に乗り込むと、泉くんは窓の方を見てる。


私から切り出そ…。

息を飲み込んで口を開こうとすると、


「俺ね、アイドルの仕事大好きなんだ」


「う、うん…」


「ファンの事大事だし、裏切らないように今までレッスンや仕事に手を抜いてきたりしなかった」


いきなり仕事の話。

えっと、言う前にフラれる?


途中から顔を見ることが出来なくて下を向く。


「彼女とか特別なのは作る気がなくて、皆の泉だって言ってて。

だけど、アイドルなのに、きちんと自分をしっかり持って菜穂ちゃんと付き合ってる玲央を見てると、俺も自分の気持ちってーのを大事にしても良いんじゃないかなーって思って…」


そっと、私の両手を握る。


「俺ね、亜夢ちゃんが好きなんだ」

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