第78話

「えっと…何これ。

めちゃ可愛いんだけど、何この生き物」


菜穂を自分に引き寄せて抱きしめる。


「れ、玲央!?」


「俺、本当に菜穂の事好きだ…」


「わ、わかったって!」


ガチャッ


玄関のドアが開き、「菜穂ごめーん、いつも遅くて…」


と慌てて誰かがリビングに入ってきて、

この状況を見られた。


「お、お母さん!?」


「えっと…どちら様?」


菜穂母だったー!!


俺と菜穂は勢いよく離れる。


「あら、あなた…どこかで」


俺の方にきて、じっくりと見て回る。


「あ、アイドルの子ね!

でも、なんでアイドルの子がうちに??」


「あの!初めまして。

娘さんとお付き合いさせていただいています。

flatの工藤玲央といいます…」


「お付き合い?」


菜穂母は、菜穂に確認の目をおくる。


「実は、そうなの…」


「え、そう…」


菜穂母は、どんどん静かになる。


場合によっては反対されるだろう。

そりゃアイドルと娘がいきなり付き合ってるなんて知ったら困るよな。


俺も菜穂も菜穂母もしばらくの沈黙。

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