第63話

「玲央…!玲央ー」


真琴さんが玲央を呼ぶ声が聞こえて、

段々声が遠ざかっていった…。



「んっ」


ゆっくり目を開けると、白い天井。

ホテル?


あぁ、地上にいる…。

助かったんだ。



「菜穂ちん!!」


亜夢が私を抱きしめる。


「亜夢…」


「菜穂、無事で良かった…」


玲央が私の左手を握っていた。


「俺はこういう事も起きるから、玲央の交際は反対してたんだ。キミもわかったろ?

芸能人という業界の人間と関わるとどうなるか」


リーダーの隼人さんが正論を言う。

でも言いたいこともわかるし、私のために言ってくれているのだという事もわかる。


ガチャッと部屋のドアが開き、マネージャーさんに連れられて百崎さんが入ってきた。


「す、すみませんでした…。」


「えっ?」


「本当にごめんね!アヤメから話は聞いたから…」


マネージャーさんが深深と頭を下げて謝ってきた。


「百崎さん、指輪はありました?」


「え?そこ!?あんな嫌がらせさせられた相手に聞く!?」


「だって、大事な物ですよね?」


百崎さんは右手の薬指にはめてある指輪を見せる。

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