第58話

「さっき、あなたの事を好きだって言ってた玲央くんの動画撮ってあるんだけど…」


さっきより低い声で耳打ちをしてきたから、

思わずびっくりして固まる。


「ねぇ、一緒に遊びに行ってもいいよね?」


再び私にさっきと同じテンションで聞いてくる。


「はい…いいと思います」


「じゃあ決定ー!行こう玲央くん♪」


玲央を引っ張ってホテルから出ていく百崎さん。


「こっわー」


耳打ちをしていたのも見ていた亜夢が零す。


「ああいうの良くいるから。

玲央はバカじゃないから…多分。

自分で何とかできる子だよ」


「真琴さん。多分って言ってましたよ」


私が突っ込むと、一瞬間があってからホテルを出る。


「見てあれ」

「工藤玲央と百崎アヤメ!?」

「映画の撮影してたっぽいよー」

「超お似合いー!!」


2人を見てた周りの人達が次々と口にする。


「……」


黙って聞いてるけど、

胸のどっかで何かモヤモヤする。


モヤモヤ?


胸に手を当てる。


「嫉妬してるの?菜穂ちゃん」


隣にいる真琴さんが私を気にかける。


「い、いえ!全然!!」


「flatだー」

「泉くーん」

「真琴さんー!!」

「ってかあの子ら誰?」

「付き人じゃない?オーラないし」


今度は私と亜夢がflatといる為に目立ち陰口を叩かれる。

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