第45話

「わかった…。

か、考えてみる。工藤くんのこと」


「ずっと気になってたんだけど、名前で呼んでよ。


俺は菜穂って呼んでるのに不公平じゃん」


私の方を見て話してるかと思ったらすぐに目を逸らす。


「え?拗ねてる?」


「拗ねてねーよ!」


「子供みたい」


「うるせーよ」


腕で口元を隠して私の方を見ない。


「れ、玲央…」


名前を呼ぶと勢いよくこっちを見る。


「名前、呼んでいいなら呼ぶわよ」


そういう私を見て彼は吹き出す。


「ホントーに素直じゃねーな」


「うるさい!」


玲央は立ち上がって飲み物を取りに再びキッチンに向かう。


「あ、そうだ。

これお土産…」


持ってきていたお土産を渡す。


「ドーナツ。バイトあったから、冷蔵系のスイーツは作れなかったけど…」


「菜穂の手作り?」


「え?まぁ…」


手作りって程の物でもないけど。

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