第44話

「それに今度、映画出演決まってさ。

恋愛映画なんだけど…撮影始まってから、

今まで恋とか愛とかくだらねーとか思ってたけど、

台本貰って演じてみて、わかる気がすんだよ。


菜穂のおかげ」


「や、やめてよ…!

私何もしてない…」


「だから、菜穂を好きになったから初めて恋愛のことわかった気がするんだ」


私は両手で頬を覆う。


「だから、そんなに直球でやめてって…」


「本当なんだって」


「やめよう!この話」


その場で立ち上がる。


「ま、これからも変わらず攻めてくからよろしく」


「~っ…」


今まで見た事のない優しい顔で私を見て笑う。


「…ダメだって!

アイドルなんだよ?

皆のアイドルだから、私を特別扱いするのは」


「アイドルだけど俺、人間なんだから。

人を好きになることぐらい自由にさせてよ」


アイドルだけど、住む世界が違う人だけど、

同じ場所で生きてる。

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