第43話

『はい、菜穂?』


「う、うん」


『今開ける』


自動でドアが開き、恐る恐る中に入っていく。


広くて綺麗な廊下にエレベーター

何もかもが凄すぎる。


部屋の前について、インターホンを押す。


「おぉ、菜穂。

いらっしゃい…どうした?」


「いや、なんか別世界過ぎて」


「はい?

ま、とりあえず中どうぞ」


部屋に入ると物があまり置かれてなくて凄くシンプル。


「なんか意外…」


「汚部屋だと思ってたのか?」


「いや、もっとキラキラした高そうなものが置いてあるのかと」


「適当に座って」


私をソファーに案内してキッチンに行く。


「実家はまぁ確かにあれだけど、俺自身そんなに持ってないから。

ま、このマンションは親が買ってくれたからあれだけど」


「そうなんだ」


「ほら、紅茶」


「ありがとう」


温かい紅茶を受け取る。


「そうやって何でも当たり前のように欲しいものは持ってたし、わがままな俺だったから。

何か嬉しかったつーか、初めて菜穂が俺と会った時の喝が忘れられなかったんだよなー」


「あー…」


出来れば私は忘れて欲しいけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る