第46話

玲央は、受け取った袋の紐を両手で持って中身をじーっと見る。


「どうしたの?」


「好きな子からの手作りって嬉しいじゃん!俺、これ保管する」


「えっ!?バカじゃないの!早く食べちゃいなよ!

こんなのまた作るから!!」


「えっ?」


玲央の驚いた声と同時に私も自分が何を言ったのか、理解する。


「ちがっ、深い意味はない!

向こうに戻ってる!!」


ソファーの方へ行こうとして、向きを変えようとした瞬間躓いて転びそうになったところを玲央に受け止めてもらった。


「あっぶねー」


「ごめん!大丈夫!?怪我してない??」


「俺は大丈夫。

菜穂は?」


私の頭を撫でる。


「だ、大丈夫…」


「良かった」


こんなに近い距離は初めてで、思わず下を向く。


「あのさ、何で下を向いてこっちを見ないの?」


「恥ずかしいからでしょ!!」


「じゃあ…俺にもっとドキドキしてよ」


耳元で囁かれて、勢いよく玲央から離れる。


「ちょ、調子乗らないでよ!バカ!」


「悪かったって」


私は両手を前に出してバリアを作る。


「えっと…菜穂さん?」

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