第53話

“あの日”…


翔が言う“あの日”は三苫に出会った日のことだ



三苫から情報をもらった後、俺は変わらず紅狼探しに明け暮れた


その後に紅狼の正体が分かり、俺はメンバーに陽の女の件は誰にも言うなと連絡をした。


あと紅狼の件も陽の件も知り合いに頼んだから調べるなと。


コイツらははじめ全く聞かず何故かと問い詰めてきた。


だけど俺はとにかく適当な理由をつけて断った


全ては杵崎を守るため


だけど翔はあの日からずっと黙ってた


探してた理由がわかった以上コイツらを巻き込ませねえように俺がそんな空気にさせたかもしれねえ



でも陽が意識を取り戻して退院したならこれ以上俺ひとりで隠すことは難しい


陽は絶対杵崎を探すつもりだ


そしたらいずれ全員に分かっちまう






……なら、


翔には話しておいたほうがいいかもしれない


話せば協力してくれるはずだ



考えを巡らせ覚悟を決めて、口を開いた


「――この後時間あるか?」

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