第23話

谷口の言葉に一瞬動作が止まりそうになった。


が、すぐに正気に戻り財布から500円玉を出し机に置き席を立った。


「俺が誘ったんだから要らねえ」


まだ吸い終わっていない煙草を灰皿に押し付け、机に置いた500円玉を手に持ち私に向ける。


『要らない。……陽のこと教えてくれてありがとう』


無事退院出来ることが嬉しい。


よかった…本当によかった、


だから教えてくれた谷口に礼を言いたかった



「…わかった。貰っとく」


谷口は500円玉を静かにテーブルに置いた。


「連絡待ってっから」


『………』


ただ谷口を数秒見つめ、私は店を出た。

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