第12話

『私が姫になる条件は、“私に干渉しないこと”だったはず』



「知ってるよ」


知っているんだったら、


『なら必要ないよね』


「……藍ちゃんと親しくなりたい。それじゃダメかな?」


『私にはそんなの要らない』


お願いだから私に構わないでよ


だけど私の願いは届かない


「でもそれは藍ちゃんの気持ちだよね。なら、俺が一方的に親しくするのはいいよね。俺は俺なんだから」



『迷惑だし、ウザイんだけど』


「迷惑がられてもウザがられてもいい。俺は俺の好きにさせてもらうよ」


そう言って私の膝の上に紙を置いた。


何それ



「嫌だったら捨てていいから。でもその度に何回でも渡すからね」


先程と同様に目を細めニッコリと笑った。




『………。』


めんどくさい


心底めんどくさい




……はあ。


小さく肩を落とし、紙を手に握ると牧野 竜雅の胸に押し付けた。





『ウザい』


もう一度言ってこの部屋を出た。

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