第11話

「…――そういえば。あのあと、無事に帰れた?裕に何もされてない?」






『…別に』




―――あのあと、私はすぐに彼らと別れた。


雑談とか特に何もしてない。


嫌いな奴らと一緒の空間にいるのも嫌だ


だから用件が済み帰ろうとしたら、「送る」と言ってついてきた新藤 裕が私を半ば“強引”に車に乗せ終始無言だっただけ。





冷たい返答を投げた私に、


「ならよかった。何かあったら俺に言ってね」


牧野 竜雅は気にせずニッコリと私に笑いかけた。





「…それとこれ、」



道具を片付け終え私の前に歩み寄ると1枚の紙を差し出した。



『………』



それを見て眉を顰(ひそ)める。




「俺の番号とアドレス。もし何かあったら連絡して」


『私、護って欲しいなんて頼んでないんだけど』



昨日言った言葉を忘れたのか。

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