第10話

少しの間、指先を静かに見据えた。



『……ありがと』



一応、お礼を言う。



牧野竜雅は私の言葉に、絆創膏を手にしたまま目を細めた。






「どういたしまして」



爽やかな笑顔で言われた。



これが素の笑顔か、。



いつも見ていた笑顔には違和感があったから。



「……ねぇ藍ちゃん、」



『……………』



視線で応える。



牧野 竜雅は私をじっと見た後、首を振った。



「…ごめん、やっぱり何でもない」



そう言って絆創膏などを片付けはじめた。



その姿を静かに見据える。

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