第8話

場所は昇降口を通り右に曲がった右手にある。



だから1,2分もかからずに着いた。



牧野 竜雅は扉に手をかけスライドさせる。



ガラッ



そのまま腕を引かれ、中に入った。



中に入ると私の腕を掴む手が離れ、「ここに座って」と言葉と共に視線を壁際にある長椅子に向けた。



『………』



入って右側にある長椅子に近づき、腰掛ける。



…………私、なんで大人しく言う事を聞いてるんだろ。



ガサガサと棚を漁る牧野 竜雅の背を静かに見据え、ふと思った。






消毒液と絆創膏を手に戻ってきた牧野 竜雅は、椅子に腰掛ける私の所に来る時近くにあった丸椅子を持ち上げ、私の前に置き腰掛けた。






「……消毒するよ」



そう言って私の手を掴み、指の傷を見る。



………だからなんで私は言うこと聞いてるの。



内心そう思っているなら、振り払えばいいのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る