第74話

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2年前の事を思い出し、我に返る。




再び、彼に目を向け口を開いた。




『……それはもう“過去”の話。私たちはもう“赤の他人”だから』




「違う」




彼は私の言葉に即否定した。


そして、その次に発された言葉に私は驚くことしか出来なかった。










「陽が目を覚ました」




 えっ…、?




 陽が、目を覚ました…?




 医者に『いつ目を覚ますかわからない。多分一生覚まさない可能性もある』と言われてたのに…。





『い…いつ、覚ましたの、?』




彼に質問するが、あまりの驚きでしっかりと話せない。




「3週間前に目を覚ました」



 

 3週間前…。




いつ目を覚ますか分からないと言われて、心配だったけど、良かった。





 陽には幸せになって貰いたい。




 好きな人と一緒になって幸せに暮らしてほしい。





 これが私の願いだ。

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