第60話

 右手で襟下まである茶色の髪を耳にかける。




 すると、ピアスが指に触れた。




 黒の十字でスイングタイプのピアス。これは、俺にとっては大切なもの。





 昔、あの人からもらったんだ…













 もぉこの世にはいないけどね。




 2年前に亡くなったあの人は今も俺を空から見守っているだろうか。





 ピアスを触りながら空を見上げる。




 …雲ひとつない青い空。




 ヒューと風がふき、ピアスが揺れる。




 




 なぁ、桐哉(キリヤ)さん。




 俺、絶対…









 アンタの敵(カタキ)打つからな、





 それまで…






 俺の事、天国で見守ってくれよ――――…











 

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