第58話

本気?


マジで言ってんの?


『…フッ』


その言葉がバカバカしくて鼻で笑ってしまう


「何が可笑しい」


新藤裕が眉間に皺を寄せ、鋭い声を発した。


その声に動じず口角を上げたまま、彼等に向かって“あの事”を話す






『……私、人を殺したの』


そこで一度言葉を切り、


『犯罪者なんだ、私』


笑顔でそう放った




そう、私は人を殺した


2年前にね



――私の話を聞いて驚く彼等


そんな彼等にまた一言放つ


私から離れるように


『犯罪者を…蒼姫にしたくないよね。ね、蒼龍さん?』


私の言葉を聞いて戸惑いをみせる彼等


だって、全国NO.1の“正統派”暴走族の姫が……“犯罪者”だったら、ねえ


周囲の目が変わる


同盟傘下も離れてくんじゃない?


それはヤバいよね


もう一度黙り込む彼等を見て、私は屋上を後にした。

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