第57話

結局手を離してくれないまま屋上に着いた。


屋上の扉が開いた途端、思いっきり腕を振って離し彼等から距離をとる


『で。話って何?』


フェンスに凭れて腕を組む


「お前に頼みがある」


新藤裕が私の前に立った。


『…頼み?』


頼みって何だよ


あの全国NO.1の“正統派暴走族”が、私に何の頼みがあるのさ



「藍ちゃん…蒼姫そうひになってくれないかな?」


「いや、藍ちゃん以外蒼姫にしたくない」


優しく言った坂井暁とは反対に、牧野竜雅が私を見ながら真剣な眼差しでそう言ってきた。



····…蒼姫?


それって…蒼龍の姫だよね



『断る』


「…やっぱりな。そう言うと思ったぜ」


壁に凭れながら呟く斎藤慧悟


『思ってたんだ。なら何で言った?』


彼等を睨みつける。


からかうのならよそでやれよ、クソ野郎が


「…別にからかってねえ。俺たちは本気だ」


私の心を読んだを新藤裕がまたまっすぐ見据えてきた

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