第71話

「返せ」


『嫌だ』


「嫌だじゃねえ。ほら返せ」


『もうませないから!』


そう発した途端、大我は眉間に皺を寄せた。


「…なんでだよ」


完全に苛立ってる。


ほら酔っ払ってるじゃん。


『だって二人共酔ってるでしょ』


「あ?酔ってねーよ。おまえ知ってんだろ?俺等酒が強えーこと。だから返せよ」


私の手から酒を盗ろうとする。


竜と同じぐらいの身長の大我にすぐ盗られそうになるけどこれ以上飲ませるわけにはいかないから渡さない。

 

『だから嫌だって。てか酔ってなかったら仲間を殺すとか馬鹿な事言わないでしょ』


ヒョイッとまたかわす。


『二人共酔ってるからこれ…私が呑む! 』


「「「…!?」」」


倉庫にいる皆が一斉に私に視線を向けた。


竜も手を止め、私を見た。

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